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From 2002 信頼されて
快適生活研究所情報 2026年9月号

アニメと社会。

 私が幼い頃夢中になった漫画は「赤胴鈴之助」でした。今でも主題歌の出だし部分をはっきりと覚えています。得意技の真空斬りってどんな技だろうと想像をふくらませていました。生まれて初めて漫画に触れ、心が惹かれました。アニメが押しも押されもせぬ日本の文化の一つとなった今日では考えられないことですが、戦後の余裕のない社会で親たちは皆、漫画に無関心で冷ややかでした。私はそんな時代に育ちました。不思議ですが中高生時代、漫画には全く興味がなく、大学生になってようやく「巨人の星」星飛雄馬の大リーグボールに魅せられ、誰かが購入してきた雑誌をクラブ仲間皆で回し読みしたものです。結婚後は幼い子供たちを膝に抱っこしながら、一緒に「フランダースの犬」を見て、少年ネロと愛犬パトラッシュに感動したことを覚えています。そして壮年期に入り、一番印象に残っているのは「宇宙戦艦ヤマト」です。人類の存亡をかけた沖田艦長や古代進の姿に、胸を熱くし、力づけられ、鼓舞されたように思います。今でも佐々木功が熱唱する主題歌の演奏が流れただけで胸が高鳴ります。
 アニメの中には大人向けの?含蓄の深いものを見かけます。偶然見た「美味しんぼ」もその一つです。この作家の雁屋哲さんは東大卒元電通のエリートだと後で知りました。先日初期の作品「寿司の心」をYouTubeで見ました。超一流ともてはやされる寿司職人の思いあがった態度に、鋭い感性を持った主人公が、独特な方法でたしなめるという筋書きです。寿司をCTスキャンで調べるという思いもよらぬアイデアには舌を巻きました。傲慢な者がいくらいいネタを使い上手く握ってもまずいということを科学的に証明したのですからこれは凄い。それと主人公東西新聞記者山岡士郎の壮絶な生い立ち等ドラマチックな設定には感心させられました。
 驚異的な長寿番組もあります。サザエさんはその最たるものです。子供から大人まで幅広く楽しめます。そしてサザエさん一家は皆歳を取りません。それでも何故か見る私達を飽きさせません。サザエさんは変わらずおっちょこちょいだし、タラちゃんはとても可愛い!何も変わらないのに私達の日常に寄り添い新鮮さを保っています。
 このようにアニメはこれまで私の生活の中で時折気持ちいい高ぶりと潤いをもたらし、そして未知に対する程よい刺激を与えてくれました。今後AIでどう変わるのか全く想像できません。おそらく制作現場の効率化が飛躍的に進み、スピードアップするでしょう。ただそれだけでは済まないように思います。しかし変わらないのはその制作に携わる人達です。創造的で思いがけない発想で我々を驚かせてくれるでしょう。とりわけ作品を取り巻く人達個々の能力を引き出し、結び付けて、協力と信頼の輪を広げ、より豊かなものに昇華してくれることでしょう。社会は人の信頼や繋がりで成り立っていると思います。人間の手づくりだからこそ生まれる何とも言えない深い感動。携わる人たちの目に見えない信頼の営みが醸し出してくれる温もり。感動を与えるのはあくまで人であり、それを受け止めるのもまた人です。
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