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まもるくん物語 第二話

(3)ヒノキチオールが含まれる樹木

第一話でお話しました通り、ぼくの主成分であるヒノキチオールはタイワンヒノキ精油から発見されました。しかし、精油の中でほんの僅か(2%)しか含まれていません。ぼくの値段が高いのはそのせいです。日本で同じように2%含まれているのは青森ヒバ、能登ヒバです。ヒバはヒノキの仲間で、青森ヒバは和名をヒノキアスナロと言い、日本にだけ生息する樹種です。約80%が青森県内にあります。不思議なことですが、日本の他のヒノキには0.01から0.06%程度しか含まれていないのです。

(4)ヒノキチオールの神秘

ぼくの故郷の一つであるヒバの森はいつも静かで鳥が飛んでこないそうです。なぜかと言うと小鳥たちのえさになる虫がいないからです。家をだいなしにするシロアリもヒノキを嫌います。「虫除けの樹」といわれるのはそういう訳なのです。

古来日本のお寺がぼくの仲間のヒノキで建てられていたのは、香りの良さもさることながら湿気に強く、シロアリに強いからではないかとぼくはにらんでいるのですが。飛鳥寺と共に世界で最も古い建造物と言われる法隆寺を支えているのもヒノキです。昭和の大修理の時に宮大工の棟梁西岡常一さん始め立ち会った建築家たちがびっくりしたのは、1300年前のヒノキが今も生き続けていたことです。梁から重を取った時ピンとまっすぐな状態に戻り、すすけた木材を削るとあのヒノキの香りがあたり一面に漂ったそうです。長い年月を経ても生き続けるヒノキってすごい。昔の方はその神秘的な力をなぜか知っていたのですね。

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